PRINTS
tsukao
『ALL L/Right Trinidad, Cuba, 2006』
今日も世界は、色んなことで渦巻いていてニュースは悲しい事件を流し続ける暗鬱たる気分になることは、ひどく簡単だ。何故わたしはこの世界にいるんだろう?何故ひとは、生きようとするのだろうか?生物の本能? そうかもしれない。でもそれだけで生きるには、人生は少し長過ぎる。いつからか、そんな当たり前の普遍的な問いをぐるぐると自分に問いながら、旅に出るようになった。遠く、なるべく遠く。言葉もわからない知らない土地で、街にまぎれ、出来るだけ自分を無の存在にするそして虫が火に飛び入るように、ふらふらと惹かれ吸い込まれる時にシャッターを押した。写っていたのは、この世界をつつむ光そしてその下で生きる私たちの、儚い一瞬の愛すべき世界だった今も世界のどこかは朝を迎え、太陽の光を浴びて一日が始まる。どこかで今も、いとおしく、美しい瞬間が生まれてる。私は、そんな光が作った一瞬の、愛すべき世界を宝物にして集めて行った。どこに行っても、全く違う場所や、違う年でも、やっぱり愛すべき瞬間はあって、色んな光の下、集まった宝物を見るとほら、大丈夫だよ、と思える気がした。
- 所属:Libro Arte
- 制作年:2006
- エディション:8
- プリントサイズ:279×356mm
- 特記事項:LBA-TSUK-AL05