写真と異なるメディアとの関係性をテーマとしてきたジェイソン・エヴァンズは、遊び心に満ちたアプローチで、彫刻や絵画の要素を取り入れています。IMA gallery第一弾企画展「PHOTOGRAPHY NOW!」のために制作された本作品は、エヴァンズがフォトジェニックと考える日用品やガラクタをセットアップして撮影した「Pictures for Looking at」というシリーズに、カラフルな丸いシールを貼る“ドローイング”が施されたユニークな作品群です。滞在制作で訪れたカナダ・オンタリオ州にあるジョージア湾で、射し込む光を反射した石灰石が、赤、緑、パープルにきらめく様子にインスピレーションを受け、そのときに見た景色や感覚を、丸シールによって表現した。

“ドローイング”は、白熱灯、自然光、蛍光灯、またはそれらのコンビネーションなど異なる光のコンディション下で施されています。フレームに収められたスティルイメージに有機的な動きを付与するドットは、月日が経過すればやがてはがれてしまう運命にあります。一瞬ごとに異なる変化を写真に込めることで、鑑賞者の感性を刺激する作品といえます。