PRINTS
清水はるみ
『The Plants in the Voynich Manuscript』
価格(税込): S:¥132,000 M:¥242,000
1912年、アメリカの古物商ウィルフリッド・ヴォイニッチがイタリアの修道院で一冊の古文書を手に取った。それは未知の言語で書かれ多数の奇妙な挿絵に彩られた、他に類を見ないものだった。公開されてから現在に至るまで100年以上にわたり、各国の言語学者をはじめとした多くの人々が解読に挑み、暗号説、人工言語説、古語説、錬金術師によるデタラメ説など様々な可能性が示唆されてきたが、未だ完全な解読には至っていない。このヴォイニッチ手稿の約半分を占める植物の章は、いずれも詳細な説明らしい文章と共に細かく描き込まれているが、実在は確認できず想像上のものとされている。誰が、何のために、架空のものの説明にこんな労力を割いたのか?
本作ではそれらの植物のうちいくつかをモデルにして写真を合成し、現代のシチュエーションの中に紛れ込ませた。フェイクを疑われるまでもなく、これらが作られた写真であることは明らかだ。花と葉のありえない組み合わせ、形、不気味な根。しかし部分だけ見れば既存の種に似た特徴を持つものもある。およそ30万種とも言われる植物の世界では日々人工的に新種が作り出され既存の種もゆるやかに姿を変えており、未開の領域や過去や未来に似たような種が存在する可能性もないとは言い切れない。時空間の範囲を広げるにつれ、想像と現実の生物の境界は揺らいでくる。こういった、何の役にも立たない想像を否定しない大らかさがあってもいいのではないだろうか。
1912年、アメリカの古物商ウィルフリッド・ヴォイニッチがイタリアの修道院で一冊の古文書を手に取った。それは未知の言語で書かれ多数の奇妙な挿絵に彩られた、他に類を見ないものだった。公開されてから現在に至るまで100年以上にわたり、各国の言語学者をはじめとした多くの人々が解読に挑み、暗号説、人工言語説、古語説、錬金術師によるデタラメ説など様々な可能性が示唆されてきたが、未だ完全な解読には至っていない。このヴォイニッチ手稿の約半分を占める植物の章は、いずれも詳細な説明らしい文章と共に細かく描き込まれているが、実在は確認できず想像上のものとされている。誰が、何のために、架空のものの説明にこんな労力を割いたのか?
本作ではそれらの植物のうちいくつかをモデルにして写真を合成し、現代のシチュエーションの中に紛れ込ませた。フェイクを疑われるまでもなく、これらが作られた写真であることは明らかだ。花と葉のありえない組み合わせ、形、不気味な根。しかし部分だけ見れば既存の種に似た特徴を持つものもある。およそ30万種とも言われる植物の世界では日々人工的に新種が作り出され既存の種もゆるやかに姿を変えており、未開の領域や過去や未来に似たような種が存在する可能性もないとは言い切れない。時空間の範囲を広げるにつれ、想像と現実の生物の境界は揺らいでくる。こういった、何の役にも立たない想像を否定しない大らかさがあってもいいのではないだろうか。
- サイズ : S: 490×320 / M: 820×490mm
- 所属:IMA gallery
- 制作年:2019
- エディション:ed.7 / ed.3