PRINTS
リカルド・カセス
『"Untitled" / Puzzle』
『Paloma al aire』は、スペイン現代写真におけるエポックメイキングな写真集のひとつ。報道写真家としての経歴を持っていたカセスだが、社会に対して問題提起することから距離を置きたいと思っていたという。そして2006年にマドリードのフォトコレクティブ「Blank Paper」に出会い、そこで写真の新たな可能性を見いだす。『Paloma al aire』には、ジャーナリスティックな視点に加えて、カセスのユーモアが随所に感じられる。テーマは、一羽のメスを巡り、90羽のオスが空を翔るスペインの場レース。一羽のオス鳩に自身の想いを託し、時間とお金を賭ける鳩ブリーダーたちの姿を、男たちの経済的及び性的な成功を左右する現代社会の象徴として写し出している。そんな作家の意図を介すると、熱気を帯びる男たちが鳩に施す、決してセンスが良いとはいえない派手なペインティングさえも滑稽でいとおしく見えてくる。カセスは、それらを大胆にレイアウト、デザイン、編集し、レースのレフェリーの手帳に見立てたリンク綴じの装丁でまとめた。このコンセプトを存分に包み込んだ見事な写真集が大きな話題を呼んだことは、記憶に新しい。
- サイズ : 500×375 / 1print *set of 8 printmm
- 制作年:2011
- エディション:5
- プリントサイズ:500×375 mm
- フレームサイズ:500×375 mm